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歴史 約400年前に現在の三重県辺りに誕生したらしい |
講師 パネルディスカッション コーディネーター 主催 京都環境アクションネットワーク |
シンポジウム
世界中で、水の問題は多発している。特に水質汚染と不足が深刻である。アメリカでは、農業用水が足りず、地下水を何百mも下から汲み上げている。
地球に存在している水の97.5%が海水で、残り2.5%が淡水である。その淡水の中で地下水の占める割合は、0.76%と少ない。そんな中、京都には、琵琶湖の水量に匹敵する地下水が存在しているといわれている。しかし、年々水量が減少している。それに地下水は地下のことなので、目には見えないから扱いにくい。そして道路がコンクリートに整備され、地下にとどまらず、すぐに河川へ流出するので、なかなか地下に溜まりにくい。
東京、大阪、名古屋など主要都市で地盤沈下が問題になり、工業用水法が施行された。しかし京都には農業用水法はないし、地下水採取の規制に関する法律もない。
松井氏の研究室と企業の協賛で、道路路面排水処理装置を開発された。これは道路の隅の地下にはめこみ、路面に溜まった雨水を取り込む。そして水の中の汚染物質をポリプロピレンでろ過してきれいにする。まだ実験段階だが、装置の効果は上々で、普及に向けての道を模索中である。
パネルディスカッション
京都市内で、コスト節減のため、独自に地下水を汲み上げて専用ろ過装置で浄化し、上水道代わりに使用する事業所が増えている。京都市の調査では、2004年7月の時点で、市内のホテルや病院など上水道の大口利用者19施設が専用ろ過装置を導入。この影響で、市の一日あたりの利用水量は計約4000立方メートル減少し、年間の減収額は4億円以上に上っている。このまま地下水を中心地で大量に汲み上げられたらどうなるのか懸念される。
以上のことをふまえて、パネラーの方に意見を聞かれた。京都市上下水道局水道部長である吉田氏は、「事業所の地下水転換は、水道局にとって大きな課題。安全な水を提供するには莫大な費用がかかる。それを回収できないとライフラインの供給に深刻な問題が起きかねない。ただ、地下水に関しては、水利権という概念がないので太刀打ちできない。」と述べられた。
月桂冠大倉記念館館長である栗山氏は、地下水を工業用水として使用する立場で意見を述べられた。「酒屋は江戸時代より、ずっと地下水を使っている。恩恵にあずかっているので、地下水の保存への活動は昭和初期からすでに力を入れている。昭和35年くらいから、井戸水が自噴しなくなり、ポンプで汲み上げないといけなくなった。そして段々深い位置にポンプを下げなくてはならなくなり、別の場所に井戸を新しく掘るようになった。このままではいけないということで、大学の先生方の協力を得て、伏見の地下水調査を行った。また時には、地下水流に支障がでないように工事の変更をしてもらうなどして守ってきた。地下水は地下のことなので、目には見えない。生き物のようなもの。だから地下水に関する法律を作るのは、大変難しいだろう。伏見の酒は、京都の伝統産業なので、絶えさせてはいけない。これからも地下水ならびに伏見の環境について取り組みたい。しかし、伝統産業の持続可能性をひとつの事業所に押しつけるのではなく、市民全体で考えるべきではないか。」
木嶋神社の宮司である神服氏は、神社の湧き水が枯れた話をされた。「元糺の池と言って、三本柱の鳥居から良質できれいな湧き水がこんこんと湧いていた。それが昭和60年くらいから水が枯れ始めた。原因ははっきりしていないが、当時太秦地区では下水の工事があり、その工事の影響で水脈が変化したのではないかと考えている。人間が生活環境を良くしよとする一方で、自然環境が変化していく。その一例とも言えるでしょう。そんな中、地元の町内会が湧き水を復活させようと立ち上がり、様々な活動をしている。このような思いを周辺の住民が持ってくれることが非常にうれしい。目下の心配は、地下鉄東西線の延伸工事による影響がでるかどうか。」
パネルディスカッションで、地下水を守るために、地下水の法制化の必要性があげられた。現在の法は、地盤沈下や汚染がないと規制ができない弱点がある。何か問題が起こってしまってからではなく、防止するという意識が重要だ。なぜなら自然環境は、一度汚染・悪化してしまうと、取り戻すのは困難であるからだ。
感 想
京都に琵琶湖と同じくらいの水量の地下水が存在していることをはじめて知った。確かに、環境が悪化する前に、防止策として地下水の法制化が必要であると感じた。そして日常に地下水を利用することのない一般人への地下水の現状や問題をもっと知ってもらうことが、まず第一歩であると思う。