活動の現況報告
2004年1月

 当会は第三回世界水フォーラムにむけて昨年、町内のまつり実行委員会のメンバーが中心となって組織されたものであります。まつり実行委員会としては、20年程以前に結成され、町内の行事のサポートや防災事業に取り組んで来た経緯があります。
 30才代を中心とした20数名の会員は、水フォーラムの講演会や事業に積極的に参加し、多くの水に関する専門家から地下水や防災の事でご教示を載き、私達なりに勉強会も行い環境フェスティバルにも特設プースを設け、パネル展示等をしたり、木鴫神社で餅つき大会を開催したりして啓発活動も続けて参りました。
 1300年以前より湧き続けてきた木鴫神社の湧水が枯渇したのは10年程以前の事ですが、周辺に住む者としては真に心痛む事であります。枯渇した原因は色カと考えられますが、周辺の宅地化に伴う道路舗装、下水敷設等の都市基盤の整備に因るところが大きい事は容易に推測出来ます。たまたま昨年の暮れに、同神社境内東北隅に京都市消防局による100トンの耐震性防火水槽が埋設される工事が始まり、掘削丁事の状況を見て、未だ地下水脈のあることが解り消防局にお願いして掘削中の土砂のサンプルと湧き出ている水を頂いて帰り、水フォーラムで知己になった上林撃泉(さくせん)工業(株)の上林春尾社長をお訪ねして、それらのサンプルを調べてもらったとろ大変良質な水であり砂礫層にも鉄気は無く、湧水は完全に枯渇してはいないだろうとの結論を得ました。社長に当会の趣旨をお話したところ大変賛同していただき、現地の調査をしてその対策法を考えていただく事になり、調査は今年2月初旬に行われました。その結果は別紙の考察書の通りであります。
 こうして我々の活動は多くの人達のご理解と善意によって進められてきましたが、一連の経遇は
朝日テレビでも報道され、新聞やラジオでも紹介されて大きな反響とお励ましをいただきました。京都大学環境工学の教授であり京都市の防災委員でもある松井三郎教授も度々現地を視察していただき、色々とご協力をいただき、歴史的環境の保全は元より地域防災面においても非常に重要な活動ではないかとのご教示を戴きました。
 結果、11月5日に京都市消防局、京都大学防災研究所、水利環境保全関係業者の方々が、おみえいただき、当会の会員が案内して御室川の取水口から木嶋神社の周辺までの農業用水路と、当神社の池までを細部に亘って視察していただき、宮司さんとも面談いただき、市の事業として可及的に取り組むべき間題であるとの認識をいただきました。
 こうした私達の運動も、何等の資金的裏付けがある訳でなく、年に2回、会負が町内の大型ゴミを集めて処理場へ持ち込み、そのわずかな余剰金で勉強会の資料経費や印刷物の作成にあてている現状であります。
 こうした状況を踏まえて「右京区まちづくり支援制度」が当会の活動に賛同していただき、助成金を頂戴出来る事になりました。構かな金額ではありますが私達の活動を諸方面から認めていただき、今後の活動への励みにもなり大変喜ばしい事と考えて居ります。
 1300年以上の歴史を持つ木嶋神社の森と泉を守り、環境の保全と共に多くの住民の飲料水として防災の為にも、この自然環境を後世に伝える事が、20世紀の自然環境破壊の上に成り立った生活文化の中に育ってきた私達に与えられた責務であるとの考えに立ち、地道ではありますが懸命の活動を続けている現況であります。

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